民事調停委員・司法委員の経験から - 相続・不動産などの財産、借金や離婚などの家庭の問題、中小企業・事業主の方にも、弁護士が無料法律相談−きさらぎ法律事務所(東京・新宿)

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民事調停委員・司法委員の経験から

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調停で失敗しないために…

(2011/3/17)

 簡易裁判所の民事調停委員と、司法委員に選任されて、『裁判所から見た調停の経験』と、きさらぎ法律事務所にいらっしゃるご相談者は、比較的、家庭裁判所に関係する案件が多いので、『当事者の代理人』として携わった調停の経験から、最初に、一番大切なことを申します。

 それは、

『調停は、必ず弁護士に委任して行なうこと』
『弁護士に頼まない調停は、やってはいけない』

ということです。

 このことは、きさらぎ法律事務所ホームページで、詳細にご説明するものです。

 そして、私が法律相談の担当者として、弁護士会や法律相談センター等に赴く機会においても、当事務所内で相談を受けているときでも、とにかくあらゆる場面で、申し上げていることです。

 法律相談を受けている際、調停制度や調停委員に対する不満を、よく耳にします。

 不満を持っている方のほとんどが、弁護士を選任されておりません。

 片や、弁護士が就いており、調停の進行や、その結果について不満がある方については、当然、その不満は、担当弁護士に向けられます。

 その場合は、実は、『調停に対する不満』ではなく、『弁護士に対する不満』を意味します。

 それは、要するに、『弁護士と依頼者がうまくいっていない』ということです。

 『調停』とは、調停委員が、当事者の言い分を聞いて、裁判所で調整を試みる,つまり、『話し合いの場を提供する手続』です。

 調停委員会は、文字とおり、『調整・調停』をするのであって、弁護士のように、『当事者の代理人』として、活動する立場にはありません。

 つまり、調停委員は、どちらか一方の調停当事者の味方でもないのです。

 この調整・調停の場に、何を持ち込むか,この場を利用して、つまり、味方につけて、依頼者のため、納得できる結果を得ようとするのが、当事者の代理人である弁護士の仕事です。

 要するに、

『裁判ではないから、弁護士を入れなくても、本人でもできる』

と考えるのではなく、

裁判ではないから、法律を駆使し、裁判に出ることを仕事としている弁護士に率先して入ってもう

と思い、それによって、

『裁判と同じような有力なアシストを受けられる』

とお考えください。

 それと、調停委員会は、裁判官が主催し、民間から選ばれる調停委員2名から構成されますが、裁判官は、ほとんど調停の場に、姿を現すことはありません。

 さらに、調停委員は、実は、そのほとんどが、弁護士や、裁判所の仕事に携わっていたような、いわゆる法律専門家が選任,担当することはないのです。

 特に、離婚等の男女や家族の問題を扱う家庭裁判所の家事調停委員は、まず、法曹資格を有しない方が担当します。

 もちろん、心理学,児童学,社会学等に堪能な、あるいは、民生委員,消費生活アドバイザー,教員等の様々な経験を積んだ方が選任されるので、それ自体は、調停を充実させるに、大いに役立っているものです。

 しかし、場所は裁判所です。

 時として、あまり法律的ではない権利義務,というよりも、『人情や道徳を声高に言われる』と感じられることがあると思われます。

 特に、調停が成立した際、作成される調停調書は、確定判決と同じ効力が生じるとても大切な書類です。

 たとえば、離婚の場合、

1 申立人と相手方を離婚する
2 申立人と相手方の未成年の子○○の親権者を、申立人と定める

との調停調書が作成されるならわしです。

 この調書に、どのような内容を盛り込むかについても、代理人弁護士の役割は大切です。

 弁護士が就いておらず、当事者同士で調停が成立し、離婚する場合、調書作成の後、調停委員より、「事務処理上の問題は、当事者で話し合って」と、言われます。

 しかし、離婚して、絶縁する者同士に連絡を取り合って協力することなど、期待できるでしょうか。

 健康保険証の扱い,荷物の引渡し,児童手当等の送金口座についてなど、離婚にあたって、いろいろ取り決めしなければならない事柄があるはずです。

 弁護士が代理人として、調停に臨む場合、当然、依頼者が何を、どこまで希望しているか、把握して職務遂行いたします。

 先の例で、せっかく求めた離婚が書類上決まったとしても、処理すべき諸々を積み残しては、本当の意味での解決,解放にはなりえません。

 調停とは、『場所の設定』と、心得ておかれるべきでしょう。

 この場所を、『どのように利用するか』が肝要です。

 調停委員に対する不満,調停手続に対する批判を耳にするケースのほとんどは、相談者の主張,要望が、調停委員会に伝わっていないために起きるものであると感じます。

 依頼者を補佐し、調停委員会に対して動いてもらう,事件の相手方に対する説得をお願いするのは、まさしく弁護士の仕事なのです。

 繰り返し申し上げます。

調停は、必ず弁護士に依頼しましょう。

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『過払金事件』を依頼する場合の注意点

― 解 決 編 ―

(2011/3/14)

 前回に引き続き、『過払金問題』についてお話しします。

 前回では、司法委員としての経験についてお話ししましたが、裁判所から選任された破産管財人,個人再生委員として、同様の経験をしたことがあります。

 と、いうよりも、『問題意識を持つ機会が増えている』と言っても、過言ではありません。

 破産手続開始決定申立てをするにも、破産予納金が必要です。

 そこで、まず、過払金を回収して、手続費用を維持してから、申立てをすることはよいのです。

 なぜなら、破産という公正な手続を進めるにあたって、必要不可欠な費用(共益的費用)の確保に当たるからです。

 しかし、その限度を超えて、債務整理の依頼を受けた代理人弁護士,または司法書士が、過払金を回収に傾注することは、公正さを疑われる事情にもなり得ます。

 もし、過払金の回収を、裁判所が選任した破産管財人が遂行するならば、裁判所の監督もあり、回収した過払金は、公平に破産管財人より、債権者に配当されます。

 過払金も、破産者の『資産』であり、破産債権者の大切な引当て財産だからです。

 ところが、破産前に回収した過払金(たとえば、債務整理の依頼を受けた代理人が回収した過払金等)が、どのように,いくら使われたのか、一部の債権者の支払いに廻ったのかなど、破産裁判所,破産管財人の関与がありませんので、基本的に『不明』というほかはありません

 それでも、過払金を回収後も、支払不能であるゆえに、破産手続開始決定の申立てができれば、上記のとおり、破産管財人が、過払金回収が適正になされていたかどうかについて、可能な限り調査いたしますので、まだ、公正さは保っておりますし、なによりも、依頼者(債務者)にとって、解決に進むことにはなっています。

 しかし、過払金を食いつぶして破産もできない、だからといって、もはや過払金返還請求事件を依頼した弁護士・司法書士などとの委任関係は終了してしまって、対応してもらえないのは、悲劇というべきでしょう

 要するに、『過払金』に飛びつかないことが肝要です。

 当職の依頼人となられて、結果的に、過払金を充当するなどにより、全ての債務を消滅させ、『おつり』が出た方はおられます。

 しかし、そのような場合であっても、お金を借りたことは事実で、今後の生活設計の戒めを述べさせていただいているものです。

 過払金がある,あるいは、それが気になる方は、裏を返せば、

  1. 現在、債務を負担した形になっている
  2. 請求を受けている
  3. 少なくとも、債務を負担した事実がある

ことになります。

 かかる場合、自らが負担したことになる『債務』の処理をどうするかの観点から、専門家のもとに赴かれるべきです。

 そして、辿り着き、応対したその専門家が、

  1. 過払金の話しかしないような場合/li>
  2. 「とにかくやってみましょう」程度の依頼内容を
    曖昧のまま進める場合
  3. 破産,個人再生,任意整理が必要となった場合に、
    「別途、委任契約を結ぶ必要がある」
    (裏返せば、依頼を受けない可能性がある)との口吻であった場合

債務整理事件の依頼は、慎重になさるべきです。

 特に、広告等で、『過払金』が最も目立つ『専門家』には、注意すべきです。

 決して、広告の案内のみで判断しないことです。

 きさらぎ法律事務所は、事務所内での初回相談は、――債務の問題だけではなく、全ての法律問題について――無料で、特に、時間制限は設けておりません。

 弁護士以外の者が、応対することもありません。


 その理由は、無料相談の理由をご覧ください。

 『債務』と『過払金』は、裏表の関係にあります。

 過払金で後悔しないため、抱えた問題について解決できるよう、ぜひとも、きさらぎ法律事務所弁護士福本悟にご相談ください。

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『過払金事件』を依頼する場合の注意点

―それだけで、あなたの『問題』は解決しましたか。

結論に、『納得』,『満足』できましたか。―

(2010/12/20)

 ここ数年、法律事務所や司法書士事務所等の宣伝・広告を、あちこちで目にするようになりました。

 そして、それに比例するように、電車内の広告や、テレビコマーシャル,新聞や雑誌等で、『払いすぎたお金を取り戻せます』,『過払金を取り返そう』という『過払金の請求』をうたい文句にしている広告が多いように見受けられます。

 司法委員を務めておりますと、『過払金』に関する事案を目にすることが多く、特に最近では、クレジット会社やサラ金業者等(以下、『クレサラ業者』と言います)の金融機関に対する過払金請求訴訟は、増える一方です。

 そこで今回は、司法委員の目線から、過払金などの債権・債務に関する事件に潜む問題点について、お話ししたいと思います。

 まず、過払金請求訴訟は、その金額にもよりますが、そのほとんどが、簡易裁判所の『管轄』となります。

 つまり、簡易裁判所は、

 @ 『訴訟物の価額が90万円以下(現在は140万円以下)の民事訴訟の管轄権』を持ち、
 A 『許可代理』という制度があり、弁護士以外の者を、訴訟代理人に選任することができる

という特色があります。

 かつての傾向として、債務者(借主)の支払いが滞って、事実上の取立行為が奏効しないと、債務者を『被告』として、クレサラ業者は、債権の取立訴訟を簡易裁判所に提起し、判決によって、金銭の回収を図る(取立てを行なう)というケースが見受けられました。

 司法委員を務めておりますと、Aの『許可代理』という制度を利用して、原告席には、『クレサラ業者の訴訟担当者(クレサラ業者の社員)』が、入れ替り立ち替わりやって来るという光景を、多く目にします。

 つまり、簡易裁判所の制度をうまく使用し、『裁判手続を使って、合法に取立てを行なう』という現象があったのです。

 そのため、このような現象を、『簡易裁判所は、クレサラ業者の取立機関と化している』と、酷評されてしまいました。

 確かに、貸金業法や、破産法が改正される数年前までは、そんな感じがいたしました。

 ところが、最近では、『過払金訴訟』が、急激に増加しました。

 それにより、被告席には、クレサラ業者の担当者,原告席には、債務者(借主)の代理人として、司法書士のほか、いつも同じ弁護士が、いくつもの過払金返還請求訴訟の代理人として、席についている姿が目につきます。

 特に、都心から離れた小規模な簡易裁判所では、弁護士の出廷は少なく、ほとんどが、裁判所での訴訟活動が認められた『認定司法書士』で、しかも、「いつも同じような顔ぶれが並ぶ」と知聞します。

 過払金とは、要するに、利息制限法を超えている部分――しかし、貸金業法の範囲内の利息である(『グレーゾーン金利』と呼ばれる部分) ――の利息を支払った場合には、所定の利息制限法の利率に引き直して計算をし、利息制限法を超えて、『払い過ぎ』となった場合、債務者(借主)が、債権者(貸主)に対して、その返還を求めることができる金員を意味します。

 『過払金』は、取引経過の開示義務や、『みなし弁済』の要件に関する裁判例の集積により、債務者(借主)に、有利な解釈・運用が定着し、ここ数年、一気に脚光を浴びた分野といえます。

 これと同時期に、司法書士にも、簡易裁判所での訴訟代理権が立法によって認められ、また、『弁護士報酬の完全自由化』が打ち出されたことなどの要因が重なって、『過払金特需』などと酷評されるような、『過払金をメインに事件を受任する』などのビジネス化した実体があることを、否定することはできません。

 これまでサラ金業者は、いわゆる『グレーゾーン』で利得し、多重債務者の自殺,夜逃げ,犯罪などといった社会問題を生み出したと評される現実がありました。

 このようなサラ金業者を、決して擁護するものではありません。

 しかし、最近では、サラ金業者に対して請求できる『過払金』の問題も、ひとつの『社会問題化』していると感じます、

 司法委員として、和解勧試等を仰せつかる案件で、訴訟の対象とされた債務以外にも、他に債務を抱えられた方に出会います。

 以前申し上げましたが、たった1件の債務で、金融機関から提訴されるケースは、稀です。

 先にも申しましたように、簡易裁判所は、訴額140万円の民事訴訟を担当しますが、『140万円以内の請求にするかどうか』は、原告である金融業者の自由です

 たとえば、1000万円の債権を有する金融業者等が、このうち、簡易裁判所で裁判を行なうために、1000万円のうち、『140万円を請求する』との内容の訴訟を提起する形態は、少なくありません。

 なぜなら、簡易裁判所に提訴すれば、クレサラ業者の社員が、弁護士,認定司法書士でなくても、訴訟代理人になれるという制度が影響していると思われるからです。

 最近経験するのは、『提訴された本件債務以外にも債務がある。ところが、この裁判までの間に、弁護士,又は、司法書士に依頼して、数百万円の過払金を回収した』というケースです。

 もちろん、形式的には、弁護士等は、依頼の趣旨に限り、委任契約の範囲で業務を遂行すれば良く、『過払金回収のみ』を依頼されたのであれば、過払金返還請求権を有する依頼者の『債務整理』は、受任外となるのでしょう。

 なぜなら、『債務整理』と、『過払金返還請求』は、事件の内容が違うのです。

 『過払金返還請求』について依頼をすれば、それ以外の債務についても、必ず解決してくれるとは限りません。

 つまり、『過払金回収のみ』を依頼した依頼者は、抱えている『本当の問題』を、解決してもらったことにはならないのです。

 多重債務の相談を受けた折、「とにかく、業者の取引経過を見て、計算してから方針を決めましょう」とお答えすることはあります。

 しかし、この場合であっても、本当の依頼の趣旨は、『債務の問題から解放されたい!』ことのはずです。

 過払金の回収によって、全ての債務が無くなった(過払分を、他の債務に充当するようなやり方も含む)のであれば、結構なことですが、過払金を回収して、弁護士費用や生活費に消費してしまってから、残った債務について、これからどうするかを考えるのでは、手遅れとなるケースが少なくないのです。

 たとえば、元事業主のAさんが、信用保証協会や、サービサーといわれる債権回収機構に債務を負担したが、現在廃業して、定収入がないという現状だったとしましょう。

 あるいは、Aさんの債務の額そのものは、高額ではなかった,しかし、現在失業中であるとか、年金や、生活保護を受給されている等の事情があるとしましょう。

 この場合、問題にすべきことは、@『残った債務』をどのようにして支払うのか,Aそもそも、これら債務を支払うべきなのかといったことを、考えなければいけません。

 弁護士等の法律専門家は、上記@,Aの視点に立って、法律相談に対応し、この先どうすべきか等の道筋を示し、かつ、着地点を回答し、『債務の問題から解放されたい!』という相談者の本当の望みをかなえるために助言し、依頼を受けるべきなのです。

 一方で、これだけ大々的に、『過払金を取り戻せる』との宣伝がなされますと、「私も長年サラ金業者に支払いをしているから、過払金を保有しているのではないか…」と思われた債務者の方,または、「当面、過払金を回収できれば、そのお金で食い繋いでいけるかもしれない…」との視点から、「過払金の返還請求のみをお願いします」と、事件処理の内容を限定して、弁護士等の法律専門家に、事件依頼をされる方も、いらっしゃるかもしれません。

 ここに、『相談者』=『債務者』と、『受任者』=『(一部の)弁護士』,または、『司法書士』の利害が一致し、『過払金を食いつぶすケース』が発生するのです。

 つまり、数百万円の過払金を回収し(食いつぶし)たけれども、訴えを起こされた債務の支払いに苦慮し、しかも、他にも債務を抱えていらっしゃる,そして、ご自身は、失業中か、安定収入を得る見込みが乏しいという方に、司法委員として、和解を勧めることはいたしません。

 裁判所司法委員は、以前は、過払金を持っていたという方が、現在、支払いができない状況になってしまった場合、「以前、過払金を回収して、数百万円持っていたではないか。だから支払いなさい」と説諭,仲介などはできません。

 そのため、提訴された業者以外にも債務を負担し、しかし、定収入がない等で、およそ支払いが不可能なケース,あるいは、他の債務の支払いも勘案して、支払方法等を考える必要があるケース等々では、司法委員としては、弁護士等の法律専門家に相談し、もう一度、ご自分の生活状況と、債務の状況をよく見直すべきであると、お勧めします。

 私たち裁判所司法委員は、自分が担当する1件についてのみ判断し、関与することしかできないからです。

 しかし、既に過払金返還請求の件で、弁護士・司法書士に相談し、事件依頼をされた方に対し、上記のようなことを申し上げるのは、同じ弁護士として辛く、情けないことです。

 なぜなら、その方々は、法律専門家に巡り会って、費用を支払ったけれども、問題の解決には至ってはいないからです。

 では、何が問題で、一体どうすればよいのでしょうか。

 長くなりましたので、この続きは、次回にお話ししたいと思います。

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裁判所に出頭する前に、一度弁護士に相談しましょう

(2010/3/22)

 『今回は、簡易裁判所の司法委員を務めている経験から、お話ししたいと思います。

 簡易裁判所の司法委員が担当する具体的な『仕事』は、裁判官の命により、これを補佐すべく、@訴訟上の和解の試み A当事者の主張の整理 B当事者の立証準備に有用となる助言・指導・仲介等です。

 これまで実際に多いのは、金融業者から支払いを求められた私人(債務者)の支払可能性に配慮した和解の勧試であります。

 司法委員として、簡易裁判所で業務に従事する際、しばしば思うことがあります。それは、『弁護士(又は認定司法書士)に相談し、できれば事件依頼して欲しい』ということです。

 言うまでもなく、裁判所は、現に係属する1件について、解決を求められます。

 しかも、当事者、つまり、貸金請求事件であれば、債権者と債務者の双方に、公平でなければなりません。

 もちろん、弁護士の立場から申せば、もともと力関係に差がある当事者(会社対個人等)にあっては、『実質的公平』こそ重要であり、この観点から、あくまで裁判所の立場を大きく外れることがない範囲で、補佐・フォローすることはあります。

 しかし、司法委員は、代理人,すなわち、当事者の補助者ではないのです。

 たとえば、金融業者から訴えられた債務者は、代理人(弁護士又は認定司法書士)に事件処理を依頼することなく裁判を続けていたところ、司法委員が入ることで、分割払いが可能であることがわかると、『毎月5,000円ずつ支払う』など、ご自身の生計,すなわち、支払能力を振り返ることなく申し出され、これを受けた業者,つまり、債権者との間で、金額増減の交渉が始まるのが実際の例です。

 しかし、たとえば生活保護受給者、無職・無収入の方、さらには、いわゆる多重債務者の方が、本当にそのような支払いを継続することができるのでしょうか。

 ある債務者の場合、A社からD社までの4業者から次々と訴えられ、その都度、分割払いの和解を成立させて、訴訟を終結させたと聞くことがあります。

 せっかく裁判所に来て、『和解』するのですから、当事者にとって、意味のある内容、つまり、ご自身の生活状況や生計に見合った内容の『和解』でなければなりません。

 ところが、裁判所に係属した『貸金請求訴訟』では、債務者の支払能力を細かく検討することは困難です。

 弁護士等であれば、単に一つの訴訟への対応のみならず、問題を抱えている当事者(依頼者)にとって、最も良いと考えられる解決策を示します。

 そして、司法委員として、裁判所から、当事者の主張を整理する役割を仰せつかるケースも多いです。

 これは、裁判所は、特に、法律的な問題点があると見ているゆえに、弁護士資格を有する司法委員に、割り振りすると考えられます。

 例示すれば、『自動車の物損事故の被害者は誰か』、『請負契約は誰と誰の間に成立したか』、『この売掛金の消滅時効は何年か』、など、法律的な判断を要するものがありえます。

 また、外形と真実が異なる場合,あるいは、権限の有無の法理論を巡っては、実にいろいろな法規の適用が考えられます。

 たとえば、民法の心裡留保(93条),虚偽表示(95条),表見代理(110条),商法の表見支配人(24条),会社法の表見代表取締役(354条)などが、これです。

 裁判所は、上記に述べたような問題点について、その『解決法』や『筋道』などを教えることはできません。つまり、司法委員も、基本的に同じ立場なのです。

 司法委員として、専門家に相談するよう勧めるケースは、その当事者にとって、『専門家の援助を得ることにより、可及的速やかな解決が可能ではないか』と見ている証なのです。

 「裁判所が理解してくれない」と不満気な感を持たれる当事者を見受けることがあります。

 確かに裁判所は、紛争等を解決する機関です。しかし、その『場』は、利用する当事者によって、いかようにも活用できます。

 民事も刑事も、『当事者主義』といわれます。裁判所が、積極的に何かしてくれると思わないことが大切です。裁判所は、当事者から与えられたテーマについて、『場』を提供するのです。

 改めて、援助者である弁護士の重要性を申し上げたいと思います。

 そして、このような案件に精通した弁護士に巡り会い、まずは相談をするということが望まれます。

 たとえば、弁護士会の法律相談は、30分5,250円が基本ですが、日本司法支援センター法テラスは、相談料は無料です。

 しかも、法テラスでは、弁護士が必要と判断されて、法律援助決定された案件については、弁護士費用を立替えてくれます(『サービス一覧』)。

 簡易裁判所は、訴額140万円以下の案件の管轄を有する関係で、比較的少額な訴訟が多いのですが、日本弁護士連合会の『弁護士検索 』や、『ひまわりサーチ』、各地域の弁護士会の弁護士情報検索システム(『東京弁護士会』)を利用することにより、それぞれの紛争の内容に精通した弁護士を見つけることも可能です。

 そして、きさらぎ法律事務所は、どのような案件であっても、事務所内での初回法律相談は、無料です(『無料相談の理由』)。

 裁判所からの呼出状を受けたら、裁判所に行く前に、必ず弁護士と会って、相談することを、ぜひ実践していただきたいと思っています。

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調停は、必ず弁護士に依頼して臨みましょう

(2010/2/22)

 『調停』とは、裁判所での『話し合い』です。よく『互譲の精神』と言われることがあります。

 裁判官が主催しますが、実際は、民間から選ばれた2人の調停委員が、申立人・相手方から事情を聞いて間に入り、円満・妥当な解決案に至るよう手続を進めます。

 調停委員は、40歳以上の学識経験者であることが要件ですが、弁護士の他、家事調停委員の場合は、心理学・児童福祉学等の専攻者,民生委員,保護司など、民事調停委員の場合は、事案の性質に応じ、一級建築士,不動産鑑定士,医師,税理士などの職にあり、また、あった人が選任されております(調停委員)。

 さて、よく、「調停は自分で申立てできる」「弁護士に頼まなくてもよい」と言われることがあります。

 法律的な回答としては、そのとおりです。しかし、これは、調停の現実を無視した解決とはならない回答です。

 調停を経験した方から、しばしば、「調停委員は話を聞いてくれなかった」「無理だから、取下げしなさいと言われた」「『このとおりしなさい、認めて調停をまとめなさい』と言われた」などの不満を聞くことがあります。

 中には、「調停委員から怒られた」とか、「何を言っているのか全然わからなかった」ように述べられる方もおられます。

 実際、調停の途中から、きさらぎ法律事務所に相談に見えられて、代理人として事件受任をするケースは、少なくありません。

 上記のような経験をされ、調停成立等により、事件が解決した方は、「弁護士が入る前と入った後では、調停委員の対応が(良い方に)変わった」「自分の言いたいことが理解してもらえ、問題点がわかった」などの感想を述べられます。

 また、「このまま自分一人で調停を続けていたら、このような結果(解決)にはならなかった」と、はっきり述べられる方が多いのです。

 弁護士の仕事の重要な部分に、『人に対して説明し、また説得する』ことがあると思っています。

 これは、事件の相手方、そして、自分の依頼者に対する場合に限らず、裁判所や、ときには社会・世間に対して、必要となることがあります。

 調停委員も、また人間です。確かに調停は、お互い譲り合うことが必要です。

 ただ、これを主催する調停委員会に、仲裁しやすいような事情・材料を提供しなければ、当事者の満足する方向には、事態は動きません。

 つまり、弁護士が代理人となって、調停委員会に対し、依頼者のため、説得をしなければなりません。

 調停委員をその気にさせることも肝要です。言葉は悪いですが、調停委員を持ち上げ、こちらの主張を提示し、これを他方に通すときにも、「調停委員のお陰である」(仮にそう思っていなくても!)と、態度で示しましょう。

 ただし、いかに人格・識見に優れると言っても、残念ながら、法律を理解していないか、おろそかにされているケースも、ないではありません。

 そのような場合は、依頼者の代理人として、弁護士が毅然と対応し、意見しなければなりません。これは、特に家事調停の場合、重要です。

 私自身も、調停委員と、『けんか』したことはあります。けんかは、その先を見据えているからできることであり、「調停委員を怒らせたら、不利になるのではないか」などと考える必要は、全くないのです。

 それから、民事調停委員を経験した立場、すなわち、主催する裁判所の側に立ってみますと、「この当事者は、説明と説得力が足りない」と感じることがあります。極端な場合、「何を言っているのかわからない」ケースも、ないではありません。

 もちろん、裁判所でありますから、法律的に、不可能・不相当な主張・要求を容れたり、調整・提案することはありません。弁護士調停委員であれば、法律からあまりにそれる、あるいは合致しない場合には、修正・導きをかけます。

 ただし、裁判所は、中立・公平な立場です。一方の当事者に教えることはできません。代弁者であり、援助者であるべきは、当事者の代理人弁護士です。

 調停が成立した場合、特に民事調停の場合は、ほとんど合意・約束されたとおり履行されるでしょう。別の機会に申しますが、裁判の判決は、現実的な解決になり得ないことが多いのです。

 調停は、互譲の精神で、当事者双方、ぎりぎりまで、実現可能性を考えて合意します。

 特に、弁護士が入っている場合は、決めたこと、合意したことは守らせる責務があり、履行可能性は高まります。

 最後に、弁護士が関与する重要な役割として、調停案の策定、すり合わせがあります。調停委員が、良い案を出してくれると思われたら、それは重大な勘違いです。

 調停は、ある程度、機が熟してきますと、当事者双方の説明・説得のうえ出された『調停案』をベースに、進行が計られるのです。

 それは、法律的・現実的・社会的な妥当性と、判断を要します。

 弁護士の関与のない調停は、決してお勧めいたしません。

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民事調停委員・司法委員の経験から

(2010/1/12)

 きさらぎ法律事務所を開設して5年経過した平成12年から、簡易裁判所の民事調停委員司法委員に選任されました。

 東京簡易裁判所の民事調停委員は、平成20年3月、退任いたしましたが、40代の8年間は、裁判所の中から、私人間の紛争解決のあり方を考え、遂行する立場に身を置くことになりました。

 調停委員・司法委員の経験は、その後の弁護士業務にはかり知れない影響を与えました。

 現在も、依頼者の代理人として、調停に臨む機会が多くあります。調停委員を経験したことで、裁判所の見方がわかるようになりました。

そして、裁判所を『味方』に引き入れて、依頼者の納得を得る解決,事案の落ち着き(大げさに言えば、『社会的妥当性』とも言えます)に配した『着地の仕方』を常に意識して、職務遂行するよう心掛けております。

 この章では、調停委員・司法委員を経験した弁護士としての経験談・心掛けや、裁判所側から見た当事者および代理人弁護士の印象等について、お話ししたいと思っております。

 気の向くままに、また、守秘義務に反しない範囲で書き込みますので、ご一読ください。

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